一握の真砂

ジャズりんご

映画「ミスミソウ」感想

2018年、監督:内藤瑛亮(ないとう えいすけ)

バイオレンスがいっぱい。
とにかく血がたくさん飛ぶ、特殊効果の人忙しかっただろうな

原作は未読

あらすじだけ読んで、あとネットフリックスはこれまでの視聴した・マイリスインの映画からマッチ度を示してくれるのだが、それが高かったので観てみた。原作は双葉社から出ている漫画。

 

画面づくりがとにかくよかった。薄紫に光るくらい白い積雪に飛び散る鮮血、素敵。作中で野咲(役者 : 山田杏奈)がずっと着てる赤いPコートも、妙子(役者 : 大谷凜香)の白いセットアップも、赤白の対比に美しかった。

あとカメラワークがいいところが何点かあって、ボウガンが宙を舞うところ(後の伏線に)、倒れているキャラクターからの視点で人が逆さまに映っているところ、カメラのレンズ越しのカット、など。

 

でもこの映画のいちばんの推すべき点はヤバ百合の存在だと思います。同性間の激つよな感情。最初はそれと自分でも自覚しないままエスカレートしていくことって、映画に限らず社会集団に属する生活をしているとあるよなあ。登場人物たちの血がこれでもかと飛び散る陰惨な現実の中で、妙子の回想だけがひたすら穏やかで、うつくしい。

相場(役者:清水尋也)がサイコ野郎だったのはラスボス感ありましたね。脚がなげえな~~と思いつつ検索したら身長186cmなんだそうで。これは体格に恵まれた俳優ですね。

 

今作と後味? を比較して反対の座標にあるのは「ライオット・クラブ」(2014)(監督:ロネ・シェルフィグ)かなあ、と。「ミスミソウ」は視聴者からみた加害者側がどんどんひどい目に遭って死んでいくわけですが、「ライオット・クラブ」は後味で言えば真逆。以下公式サイト。

www.at-e2550.sakura.ne.jp

ロネ・シェルフィグ監督は「17歳の肖像」(2009)でもオックスフォード大学を大きな要素として描いていて、大学に思い入れというかなにかしらのこだわりがあるのかな、と邪推する。「ライオット・クラブ」は特に良作なので、興味がある人は観てみてね。

 

それから「白い雪と鮮血」という画面づくりで親近感があるのは蜷川実花が監督をした「人間失格 太宰治と3人の女たち」かな。以下公式サイト。

ningenshikkaku-movie.com

小栗旬が出るということでけっこう宣伝はいいように見えたけどこれについては劇場で観て時間と金を無駄にしたなと思った作品。太宰治が題材でよくこれだけつまらん映画つくれるな……と思ったけど蜷川味(にながわあじ)の作品が好きな人にはこのテイストがいいんだと思う。私には向いてなかった。たぶんストーリーや構成はガン無視でも「画面が蜷川色であればいい」という人には評価高そう。